首都大学東京で開催された,日本教育工学会第27回全国大会 https://www.jset.gr.jp/taikai27/ に参加してきました.教育工学は分野の裾野が広く,普段,なかなか自分の研究から遠い分野の研究に触れることがありません.そのため,大会は,様々な分野の研究に触れることができるとてもいい機会です.
今回,特に記憶に残ったのは,次の研究でした.
2a-203-06
進行中の議論における潜在的評価に関する基礎研究
○鈴木 栄幸 [茨城大学], 加藤 浩 [放送大学]
人は議論をしているとき,顕在化しているやりとり,即ち,音声を通した会話以外にも,非言語的/ノンバーバルなやり取りを行なっているのではないか,そしてそれを表出できないか,という試みでした.
たいていの会議では,「声の大きい人」や「よく話す人」が存在し,表向きの議題はそういった人の発言に支えられ,誘導されて,進んでいくことが多いと思います.しかし,口に出しては言わないけれども思っていることを,それぞれの参加者は持っていて,いろいろな理由から顕在化されないままに議論が進んでしまうこともよくあるでしょう.特に表立って発言するのが苦手?な日本人にはよくあることで,そのような「顕在化されない思考」が,表情などから共有されると,時には「空気」と呼ばれたりするのでしょう.
この研究では,そのような「顕在化されない思考」のうち,「潜在的評価」を可視化し,利用することを目指して,予備的考察を行なっています.詳しくは講演論文集を確認ください.
一点知りたかったのは,顕在化したくないからされないのか,顕在化する事が出来なかったから(時間がなかったり,発言のチャンスが無かったりなどで)されないのか,「顕在化されない思考」にもバラエティーがあるのではないのかということ.発表時間を勘違いされて,質問の時間が無かったのが残念です(^_^;)
鈴木先生の研究にはいつも刺激を頂いていて,拝見するのが楽しみです.